村上春樹『1Q84』と小説のモーメントなるもの

村上春樹の『1Q84』を読みました。読みやすいが複雑で、力強い作品だったという印象です。文章はごく平明なんですが、小説の構造が非常に入り組んでいて、二人の主人公が交替で登場するというのはこの作者の長篇の以前からの特徴ですが、その二つの導線が微…

文学フリマとブロガー同人誌

文学フリマに行ってきました。十分前に着いたら、入口に長蛇の列ができていてちょっと驚く。でも会場もずいぶん広くなりました。天上が高い。前回は東浩紀のゼロアカが話題でしたが、今回はブロガーによる同人誌がいくつも出ていて面白かったです。フィード…

『やし酒飲み』 知恵の輪的な世界の解体

一箱古本市の店番のあいだに読もうと思い、三鷹の書店で買った。著者のチュツオーラはナイジェリア人で、アフリカの小説といえばまず名前が挙がる定番の作品である。ふつうの書店で買える唯一のアフリカ文学ではないだろうか。やし酒飲み (晶文社クラシック…

一箱古本市2009

前のエントリにある通り、一箱古本市に参加してきました。つつじ祭りの人出もあり、一帯お祭りめいて賑やかな感じでした。夕方までに40冊ほど売りました。浅野いにおの「ソラニン」をきれいな女子に買ってもらったのと、「ゼロアカ道場」を超年配の方(70代…

一箱古本市に参加します

5月4日、千駄木で行われる一箱古本市に参加します。今日、部屋に積んである本から売りに出せそうなものを選んだのですが、66冊でした。これくらいで大丈夫だろうか。本屋の棚らしく並べてみたのですが、新しめの国内の文芸書、柴田&村上訳中心の海外文学…

『ジーザス・サン』の瘠せたアメリカ

短篇集 Jesus' Son に関して言えば、これはまさに完璧な作品集だ。 とまで村上春樹に言わしめた、デニス・ジョンソンの短篇集が先日刊行された。訳者は柴田元幸、白水社の新しい叢書で、装幀も鮮やかなオレンジに落書き風の題字と格好いい。題名が『ジーザス…